年齢とともに増える肌の悩み、敏感肌、乾燥肌、ニキビ、アトピーは、もしかして、肌に住む菌のバランスが崩れているサインかもしれません。美しい肌を保つためには、皮膚に常在する菌のバランスがとても重要です。
常在菌の種類で、肌のコンディションに良い影響を与える菌が善玉菌。肌のコンディションを整えるためには、善玉菌が活動しやすい環境を意識することが大切です。
今回は、善玉菌の概要や、肌のコンディションを整えるための善玉菌を活性化させるスキンケアで意識してほしいことなどをわかりやすく解説します。スキンケアを実践して、肌のコンディションを意識してみましょう。
肌によい善玉菌とは
善玉菌とは、肌環境を健やかに保つことに関与するとされる菌のことを指します。皮膚には約20種類の常在菌がいると考えられていますが、その中で代表的な善玉菌と位置付けられているのが「表皮ブドウ球菌」です。
この菌は脂肪酸やグリセリンなどを生成し、肌のうるおいを保つ環境づくりに関わっています。善玉菌が活動しやすい状態を意識することで、肌のコンディションを整えることにつながります。
善玉菌のバランスが乱れると起きること
善玉菌のバランスが乱れてしまうと、肌のコンディションが崩れやすくなります。菌のバランスが保たれていると、肌を健やかに保つことが期待されます。
一方、菌の調和が崩れると、肌が乾燥しやすくなることがあります。
皮膚には、善玉・悪玉菌・日和見菌と3つのカテゴリーの菌が存在し、以下の特徴があります。
- 善玉菌:肌のバリア機能を維持し、良い働きをする菌
- 悪玉菌:肌のコンディションに影響を与える菌
- 日和見菌:善玉菌にも悪玉菌にもなりうる菌
菌のバランスが良好なら、日和見菌が善玉菌の味方になり、肌を健やかに保つことに役立ちます。一方、菌のバランスが乱れて悪玉菌が優位になった場合、日和見菌も悪玉菌の味方になり、肌のコンディションが乱れる要因になることがあります。
肌のコンディションを意識したケアとは
肌のコンディションを整えるためには、菌のバランスを意識し、善玉菌が活動しやすい環境づくりを心がけましょう。
コンディションを整えるためには、「菌を減少させない」ことと、「菌を増加させる」ことが重要です。善玉菌のバランスに配慮したケアを心がけることが大切といわれています。
日頃からメイクを頻繁に行う場合は、肌を良好に保つために、1日の汚れをしっかりとることが大切です。
しかし、汚れをとるために、洗浄力の高い洗顔料を毎日使うと、必要以上に菌を洗い流してしまい、肌のコンディションを乱してしまうことがあります。そのため、善玉菌のバランスに配慮したスキンケアを心がけることが大切になってきます。
スキンケアで意識すること
スキンケアを意識することで、良好なコンディションに近づけることができるでしょう。ここでは、スキンケアを行う際に意識すべきことを紹介します。
保湿で肌にうるおいを保つ
スキンケアでは、うるおいを維持するために保湿をしっかり行いましょう。
乾燥すると、悪い働きをする黄色ブドウ球菌が活発になり、肌荒れの原因になるためです。一方、保湿をしっかりしてうるおいを保つことを意識するのもおすすめです。
お風呂上りなどに「乾燥しやすいな」と感じていたら危険信号だと思って、すぐに保湿しましょう。ただし、界面活性剤や防腐剤が入っている保湿剤は、善玉菌を活性化させることを考えると避けた方がよいでしょう。
完全に避けることは難しいため、まずはシンプルな素材で作られた保湿剤を探してみてください。
最近では、肌の菌に着目した基礎化粧品が販売されているため、試してみると良いでしょう。また、空気が乾燥する冬は肌も乾燥しやすいため、季節ごとにアイテムを変えてみるのもおすすめです。
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紫外線予防は徹底する
紫外線には殺菌効果があり、必要な菌にも影響を及ぼすため、紫外線対策は徹底して行いましょう。
紫外線は美容の敵になると考えられているため、徹底した予防が効果的なためです。
紫外線によってダメージを受けると、バリア機能が破壊され、乾燥しやすくなります。
乾燥すると角質が厚くなって毛穴をふさぎ、ニキビの原因になるアクネ菌が増殖してしまいます。
そのため、日焼け止めはこまめに塗り直したり、日傘や帽子などで日光に当たらないように物理的にガードしたりなど工夫すると良いです。
太陽光は年中降り注いでいるため、紫外線対策は夏だけでなく、冬も油断せずに行いましょう。
洗いすぎに注意する
頻繁に顔を洗うなど、洗いすぎると必要以上に菌が減少するため注意しましょう。善玉菌は一度減少すると、元に戻るまで時間がかかることがわかっています。
1日に何度も顔を洗ってしまうと、減少してしまった善玉菌が再び増加する時間がなく、菌の調和を乱す原因になります。また、摩擦を伴うような力を込めて洗うのも良くありません。物理的な刺激は、細胞にも菌にも良くありません。
ぬるま湯を使い、泡で包み込むような優しい洗顔方法を実践し、回数は1日2回程度に抑えるのが理想です。
バランスの良い食事で栄養を摂取する
栄養バランスが整った食事は美しい肌にもつながるため、積極的に取り入れましょう。皮膚の菌バランスだけでなく、腸内環境を整えることも肌にとって大切なためです。
もし、油脂や脂肪の多い食事を頻繁にとっている場合、皮脂が過剰に分泌され、ニキビや炎症などが発生することがあります。
腸内環境を良くするためには、食物繊維や発酵食品をはじめ、栄養バランスの良い食事を取り入れることが大切です。
健康的な食生活は美しい肌につながるため、実践してみてください。
また、うるおいにつながるように、1日1.5L程度の水分をこまめに飲みましょう。
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睡眠の質も意識する
睡眠の質も肌に影響を与えるため、質の良い睡眠をとることを意識しましょう。睡眠不足になると血行や代謝が悪くなってしまい、さまざまな健康トラブルが発生しやすくなります。
特にターンオーバーが低下して、細胞が生まれ変わるのを阻止してしまうため、肌荒れの原因になります。
美しい肌を目指すなら、できるだけ規則正しい生活リズムを保って、質の良い睡眠をとることを意識しましょう。
おすすめ記事:睡眠の基本!快眠のコツやサプリメントの活用法を解説
汗をかく
汗をかくことはデトックス効果もありますが、善玉菌が増加する要因になります。
表皮ブドウ球菌は汗をエサにして増殖するためです。また、汗に含まれる成分が肌環境に関与するといわれています。
汗をかくために、必ずしも激しく運動する必要はありません。軽い汗がかけるヨガやストレッチなどは、手軽に取り入れられて続けやすいでしょう
善玉菌を意識して、普段から運動して、汗をかく習慣を取り入れてみましょう。
肌に触れるものは清潔にする
雑菌が肌に触れると肌のコンディションが乱れることがあるため、肌に直接触れるものは清潔にしておきましょう。善玉菌は、清潔な環境を好みます。
化粧をするときに使うスポンジやブラシなどは雑菌が増えやすいため、こまめに洗って清潔にしておきましょう。善玉菌が好む環境にするために、衛生面に気を付けて清潔を保つことが重要です。
まとめ
肌のコンディションを整えるためには、常在菌のバランスを良好な状態に維持することが重要です。菌のバランスが崩れると、肌のコンディションが乱れやすくなることがあります。
そのため、肌を健やかに保つために、日々のスキンケアや基礎化粧品選びを意識してみましょう。
執筆者・監修者
株式会社CloudNine
代表取締役 島本 倖伸氏
真の健康と美しさを目指す企業として、株式会社CloudNineを創業。NMNの食薬区分の改正に合わせて、同年6月にいち早くNMNサプリメントを発売。累計出荷本数20万本以上と、国内におけるNMNのリーディングカンパニーの一社として、数多くの臨床研究を積極的に行っている。NMNサプリメントにおいて日本初の機能性表示食品となったサプリメントやスキンケアのオールインワンジェルなどの『Refeelasシリーズ』を展開。NMNをブームから文化にしていくために、NMN製品の臨床研究を積み重ねている。
共同研究者
近畿大学農学部応用生命化学科
教授 澤邊 昭義氏
1991年近畿大学大学院工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了(工学博士)。1991年米国マサチューセッツ工科大学 博士研究員、1993年近畿大学 農学総合研究所 助手、講師、助教授、准教授を経て、2025年近畿大学教授(農学部)。 専門分野:生物環境学、生命資源化学。研究略歴:様々な植物から有用性物質の探索を行い、食品、化粧品へ応用した実績を持つ。近年は、機能性表示食品へ応用可能な新規関与成分の探索研究も実施中。