プロダクティブ・エイジングとは?年齢を重ねても健康的に楽しく過ごすために

年齢を重ねるにつれて、健康に関するお悩みが増えやすいこともあり、どうしてもネガティブになりがちです。

いくつになっても、身体的にも精神的にも健康的で前向きに生きるための考え方のひとつとして「プロダクティブ・エイジング」があります。

超少子高齢化社会に突入する日本で、年齢を重ねることをポジティブに捉え、生き生きと楽しく過ごすために、ひとりひとりが意識したい概念でもあるでしょう。

この記事ではプロダクティブ・エイジングについて、基本から詳しく紹介します。
 

プロダクティブ・エイジングとは

「プロダクティブ・エイジング」とは、アメリカの精神科医であるロバート・バトラー氏が1975年に提唱した概念のことです。
高齢者が身体面と精神面のどちらも健康的に過ごし、今まで培ってきた経験や知恵を活かして社会貢献をするという考え方となります。

そもそもこの考え方を提唱した70年代の時点で、高齢者は既に社会貢献をしていると彼は明かしていました。
その上で、高齢者が社会貢献をしていないと捉えられている風潮に異を唱え、この考え方を提唱したのです。

“プロダクティブ”には、生産的な・実りの多い・創造的といった意味があります。
ここで言う社会貢献とは、金銭が発生する労働だけでなく、家事や育児、地域での活動やボランティア、健康維持のための活動なども含まれています。

いずれも年齢を重ね、さまざまな経験をしてきた高齢者だからこそできる活動もあるのではないでしょうか。

 

プロダクティブ・エイジングをふまえたサポート

プロダクティブ・エイジングをふまえたサポートにおいて大切なのは、一方的な支援だけではなく「高齢者の尊厳を守りつつ、元々持った能力を活かせるように柔軟なサポートをする」という点です。
 

以下のような例が挙げられます。    

妻の逝去後、家事に困っている男性に対して家事そのものを手伝ったり食事を提供したりするだけでなく、家事のやり方を指導する。一方的な支援サービスではなく、男性が元々持っている能力を活かせるようにサポートする。(年齢と共に切り離されがちな社会活動へ参加し、それによる社会貢献を目指す。)  

足腰が悪く引きこもりがちな高齢者に対して介護を行うだけでなく、リハビリのサポートをする。(ただ介護される側にいるのではなく、リハビリして動ける身体づくりをすることで、自らも活動しやすくなる。)  

これはプロダクティブ・エイジングをはじめとした概念が与えることができる、大きな影響だと言えるでしょう。

 

日本でプロダクティブ・エイジングが注目される背景

日本でもプロダクティブ・エイジングという考え方が注目される背景として、いくつかの要因があります。  

ここでは2つを紹介しましょう。
 

高齢化社会と2025年問題

プロダクティブ・エイジングを語る前に、日本の少子高齢化社会の現実を知っておく必要があります。

政府もさまざまな少子高齢化対策案を練ってはいるものの、向こう数十年で大幅に改善される見込みは経っていません。

それどころか2025年には、約800万人の第一次ベビーブームに誕生した団塊世代が全員75歳以上になる“2025年問題”が待ち構えています。

4人に1人が後期高齢者になるという超高齢化社会を迎える日本では、社会保障費の圧迫とその担い手の減少、増税といった問題が山積みです。
 

介護認定は2割という現実

高齢者は元気がない、介護が必要というイメージが持たれがちですが、高齢者(ここでは65歳以上とします)のうち、介護認定されている人はわずか2割。

あとの8割は元気に過ごすことができているのです。

平日のジムやヨガ、スーパーなどが元気な高齢者で連日賑わっているのを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

つまり、高齢者は若い層に支えられないと生きていけない、社会貢献は不可能といった考え方はもう古いのです。

高齢者が健やかに社会貢献しながら生きていく「プロダクティブ・エイジング」の概念こそが、これからの日本に求められていると言えるでしょう

 

プロダクティブ・エイジングに似た概念

プロダクティブ・エイジングの他に、似た概念として「サクセスフル・エイジング」や「アクティブ・エイジング」が挙げられます。

いずれも介護や看護の場面でもよく出てくるほか、高齢者が健康的かつ幸福に過ごす上で重要な単語です。

詳細を見ていきましょう。
 

サクセスフル・エイジングとは

プロダクティブ・エイジングが提唱される前の1960年代のアメリカでは、サクセスフル・エイジングという考え方が用いられていました。

正式な和訳は無いものの、“生きがい”や“幸福な老い”といった日本語が意味合い的に近いとされています。

これには3つの要件があります。

① 病気や障害の発生確率が低い
② 高い身体能力や認知機能を維持
③ 生産的な活動や交流など、生きがいを持って積極的に社会に参加する

サクセスフル・エイジングは看護用語としても使われており、老化の過程に上手く適応し、豊かで健康的な老後を迎えていることを指しています。

日常生活を送る上で必要な機能を維持し、社会との関わりを積極的に持って活動をしていくことがQOLの向上に繋がるという考え方です。
 

アクティブ・エイジングとは

アクティブ・エイジングとは、2002年にWHO(世界保健機関)が提唱した概念。

生活の質を低下させることなく、社会参加や尊厳の維持をしながら年を重ねていくことを指します。

直訳すると“活発な高齢者”です。

これは身体的に健康の維持や労働ができるといったことに限らず、社会的や文化的、市民的な活動に継続して参加できるか否かという項目も含まれています。

WHOは、アクティブ・エイジングについて3つのポイントを掲げています。

① 社会参加:定年や子供の自立といったライフスタイルの大きな変化をきっかけに、社会参加が減る人が多いのが現実。そのまま離脱するのではなく、状況に応じて社会参加ができるようにする。
② 健康:医療や介護を受けなくても生き生きと過ごせるよう、健康の維持をすること。
③ 安全:支援が必要になった際、保護・尊厳・ケアを受けられることが保証されること。

アクティブ・エイジングはこれらのポイントを踏まえた上で、全ての人ができるだけ長く生き、老後の生活の質を上げることを目的としています。

 


プロダクティブ・エイジングとNMN

プロダクティブ・エイジングを実現するために、ここではNMNとの関係性に注目してみましょう。
 

NMNがプロダクティブ・エイジングで注目される理由

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、エイジングケアや健康維持の分野で話題を集めている次世代成分のひとつで、世界中でさまざまな研究がおこなわれています。

たとえばヒトへの投与では以下のような結果が出ています。
こちらはワシントン大学の今井眞一郎教授による2021年発表の研究結果となります。

・対象:閉経後で肥満あるいは過体重の糖尿病予備軍の女性25人
・条件:1日250㎎のNMNまたは偽薬のプラセボを10週間投与


<結果>
① NMNを摂取したグループのNAD量が上昇(NADについては次の項目で解説)
② 運動に必要な骨格筋のインスリン感受性が25%上昇

参考:Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women (サイエンス2021年掲載論文)

NMNはまだまだ研究中の成分ではありますが、ほかにも糖尿病や心不全、動脈硬化などの加齢に関連する病気への改善が期待されるなど、エイジングケアを語る上で外せない成分です。

プロダクティブ・エイジングでは、身体的に若々しくいることも大切となってきます。

NMNはもともと私たちの体に含まれている「生体内物質」ですが、加齢とともに不足しがちです。

年齢に応じた量のNMNを補うことは、プロダクティブ・エイジングにもつながりやすくなります。

年齢を重ねる上で、老化は仕方の無いこととされていました。

NMNをはじめさまざまな研究が進められていくうちに、健康を維持できる方法があるのではないかと考えられるようになったのです。
 

NMNのはたらき

NMNはもともと体内にも存在する成分で、NAD+という補酵素に変換されます。
NAD+は老化を防ぐ酵素を活性化させる働きがあるものの、加齢と共に量が減少します。

つまりNAD+が減ることで、老化に関連した病気を引き起こす可能性が高くなると考えられています。

そのためには、NADのおおもとであるNMNを摂取するのが1つの方法です。

ただし食品内に含まれるNMNはごく微量となるため、サプリメントを活用して摂取するのが一般的となります。

NMNのはたらきについて、食事制限の観点からも見ていきましょう。

そもそも細胞はストレスによって老化します。

この老化した細胞はSASPという炎症性のタンパク質を放出するのですが、これは糖尿病や認知症などを引き起こすとされています。

そこで注目されたのが食事制限です。

今の研究では、14%の食事量を減らすと炎症性のタンパク質が放出されるのを防ぐことができたとの結果が発表されています。

さらにカロリー制限と近い効果を確認できたのが、レスベラトロールというポリフェノールの一種やNMNの摂取となります。

もともとNMNやNAD+などはカロリー制限と関わりのある物質として知られています。

研究が進むことで、さらなる効果の発見も期待できるかもしれません。

 

プロダクティブ・エイジングとビタミン

プロダクティブ・エイジングでは、適量のビタミンを摂取することも推奨されています。
 

ビタミンがプロダクティブ・エイジングで注目される理由

ビタミンは体の調子を整える栄養として知られています。

プロダクティブ・エイジングでは、健康的な体づくりがベースにあることから、注目されるのも当然といえるでしょう。

またビタミンは、1910年に鈴木梅太郎が初めて発見した物質です。

それ以来ビタミンは、現在まで十分な研究がされていて安全性も確認が取れています。
新しい作用が発見された場合でも、早い段階で試しやすいのは大きなメリットです。

さらに、身近な食材から摂りやすいものが多いのもメリットでしょう。

ビタミンDは、サバ・サンマ・マグロなどの魚や、たまごやチーズなどに多く含まれています。

また、日光浴をすることでビタミンDが体内合成されるのも特徴です。

疲労回復などにも効果は期待できるビタミンB群は、ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンの8つを指します。

食材で言うと、カツオやまぐろの赤身、牛乳、あさり、バナナ、さつまいも、玄米ご飯などに多く含まれているビタミン。

サプリメントだけでなく、飲みやすいプロテインから摂取するのも良いでしょう。
 

ビタミンのはたらき

そもそもビタミンは、私たちの健やかな成長や健康維持に必要な栄養素です。

なかでも糖質、脂質、タンパク質といったエネルギーを生成する栄養素の代謝をサポートするのがもっとも大切な役割だといえるでしょう。

大半のビタミンは、私たちの体では生成することが難しいため、食事を通して摂ることが求められます。

大きく分けて、脂溶性と水溶性の2つがあり、各ビタミンは、それぞれ異なる機能や効果を持っています。

 

まとめ

老化をネガティブに捉えるのではなく、心身ともに健康的かつ培ってきた経験や知識を活かして社会貢献をする「プロダクティブ・エイジング」という考え方。

年齢に抗うことは不可能かつ超少子高齢化社会を迎えるという現実に直面した今、私たちひとりひとりが取り入れるべき概念です。

プロダクティブ・エイジングを叶えるためには、考え方を変えることは前提として、ビタミンやNMNを積極的に摂取していくことも重要です。

日頃の食事内容を見直すほか、不足している分の栄養素はサプリメントやプロテインなどで補うなど、いつまでも健康的で明るく過ごせるように努めていきましょう。

 

執筆者・監修者

代表取締役 島本 倖伸氏

株式会社CloudNine

代表取締役 島本 倖伸

真の健康と美しさを目指す企業として、株式会社CloudNineを創業。NMNの食薬区分の改正に合わせて、同年6月にいち早くNMNサプリメントのRefeelas(リフィーラス)を発売。累計出荷本数20万本以上と、国内におけるNMNのリーディングカンパニーの一社として、数多くの臨床研究を積極的に行っている。NMNサプリメントにおいて日本初の機能性表示食品となった「Refeelasサプリメント」、スキンケアの「Refeelasオールインワンジェル」を販売。NMNをブームから文化にしていくために、NMN製品の臨床研究を積み重ねている。

共同研究者

准教授 澤邊 昭義氏

近畿大学農学部応用生命化学科

准教授 澤邊 昭義

1991年近畿大学大学院工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了(工学博士)。1991年米国マサチューセッツ工科大学 博士研究員、1993年近畿大学 農学総合研究所 助手、講師、助教授を経て、2000年近畿大学准教授(農学部)。 専門分野:生物環境学、生命資源化学。研究略歴:様々な植物から有用性物質の探索を行い、食品、化粧品へ応用した実績を持つ。近年は、機能性表示食品へ応用可能な新規関与成分の探索研究も実施中。