サプリメントの次世代成分として「NMN」に注目が集まっています。
ニコチンアミドモノヌクレオチド、通称「NMN」は、科学的に生み出された物質ではありません。
もともとブロッコリーやアボカドなどの食品に含まれているほか、人間の体内でも自然に作られる成分です。
近年、NMNの研究が進み、その効果やメカニズムが徐々に明らかとなったことで、若々しさや健康に関するトピックでもその名が聞かれるようになりました。
この記事では、NMNの概要、効果やメカニズム、摂取時の注意点など、知っておきたい基本をわかりやすく解説します。
NMNとは?
NMNとは、ニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide Mono Nucleotide)の略称で、人間をはじめとする全ての生命の体内に自然と存在する成分の一種です。
様々な脱水素酵素の補酵素として働くNAD+の生成に関わる中間物質でもあります。
自然の物質である
NMNは、ビタミンB3やニコチンアミドを原料として、私たちの体内でも生成されます。母乳にも含まれ、生命活動全般に重要な細胞のエネルギー生産に必要な成分です。
人間だけでなく、あらゆる生物の細胞に存在しています。
自然界の食材にも存在する物質で、ブロッコリーやアボカドなどの野菜や果物をはじめ多くの食品に含まれています。
加齢により減少する
体内のNMNは加齢により減少することが研究により判明しました。
体内ではビタミンB3(ニコチンアミド)から生成されますが、人が年を重ねるにつれてその生成量は減少する傾向にあるのです。
現在では、不足しがちな成分を補う効果が期待できる関連アイテムが多く市販されています。
たとえば健康食品としては粉末や粒状のサプリメントなど、外用化粧品には肌に塗る化粧水や美容液などが挙げられます。
2020年3月には、日本の厚生労働省が「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(非医薬品リスト)にNMNを追加しました。
この動きにより普及がさらに進むと予想されています。
NMNの効果とメカニズム
NMNが注目される理由は、その効果にあるといえるでしょう。
ここでは、そのメカニズムとともに簡単に解説していきます。
研究により判明したNMNの効果
過去のマウスやヒトを対象に行われた研究や実験では、NMNの投与により体内のNAD+レベルが上昇し、細胞活性化に寄与する可能性が示されました。
なかでも特に、細胞活性化による若々しさや健康維持に関する効果が観測された点に注目が集まっています。
しかし、これらの結果がそのまま全ての人間に適用できるわけではありません。
人間に対する効果や副作用については、詳細な調査と研究が進行し、現在解明が進められている最中です。
たとえば2020年1月には慶應義塾大学医学部内科学教室の研究グループが、NMNに関する重要な臨床研究を行いました。
健康な男性10人を対象にしたこの研究では、NMNが人間に対しても安全に投与できることが確認されています。
具体的には、脈拍、血圧、内臓機能に異常な変化は見られず、睡眠や視力にも影響はなかったとの結果が得られました。
この研究結果は、NMNの人間に対する安全性を証明する大きな進歩といえるでしょう。
今後も研究が進み、NMNの可能性がさらに広がることで、その利用範囲へも影響する可能性は十分に考えられます。
体内におけるNMNの働き
そもそもNMNは、NAD+の生成に関わる中間物質です。
NAD+は様々な脱水素酵素の補酵素として働き、エネルギー産生のための酵素反応において中心的な役割を果たします。
つまり、我々の体内で行われるさまざまな反応を維持し、生命活動を支える物質のひとつとして知られているのです。
加齢とともに体内でのNAD+の生成量が減っていきます。
特に哺乳動物の場合、その減少が大きいことが研究により判明しました。
さらにNAD+は、若々しさに関わるさまざまな生体反応に必要な物質のため、減少すると体内のさまざまな部位へも影響します。
しかし、NADをそのまま摂取しても細胞に吸収されにくいことが分かっています。
そこでNADの前駆体であるNMNを摂取することで、NAD+の生成を促進し、細胞の活性化や健康保持に役立つと考えられているのです。
他にもNMNは、サーチュイン遺伝子(抗老化遺伝子)の活性化にも影響することが判明しています。
NMNに注目が集まる背景
なぜNMNに注目が集まるのでしょうか。ここでは主な背景を紹介します。
研究により様々な効果が判明しつつある
研究によりさまざまな効果が判明しつつあるNMNに注目が集まる背景として、研究によりさまざまな効果が判明しつつあることが挙げられるでしょう。
そもそもNMNはNAD+やサーチュイン遺伝子との関連が見られ、具体的にどのような効果をもたらすのかは、現在も活発に研究が進められています。
ワシントン大学の今井眞一郎氏のチームは、マウスへのNMN投与により、体重増加や骨密度の低下を抑制し、インスリン感受性を改善し、免疫力を向上させるなど、多岐にわたる抗老化効果が見られたと報告しました。
また、ヒトへの臨床試験でも、NMNの摂取が血糖値を下げるインスリン感受性を高め、筋肉の再生を促す遺伝子の働きを強める効果が確認されています。
しかしながら、これらの研究結果はまだ初期段階であり、NMNの効果については引き続き解明が進められています。
多数のメディアで紹介された
NMNに注目が集まる背景として、多数のメディアで紹介されたことが挙げられます。
日本では有力メディアが特集記事を掲載し、その効果や作用メカニズムを広く紹介することで、NMNに対する一般の認知度が向上したといえるでしょう。
メディアでは多くの専門家たちが、この物質についての解説を行っています。
また、テレビでもNHKをはじめとした多くの番組で特集され、その研究結果が詳しく紹介されました。
なかでも2015年に放送された番組でNMNが詳しく紹介されたことは、世間で話題になったといえるでしょう。
この番組では、新技術の紹介とともに、それが私たちの生活にどのような影響を与えるかを探るテーマで構成されていました。
さらに何度も再放送されたほか、2023年現在でもWEB経由で配信されていること、その内容がWEBを中心にいくつものメディアで紹介されていることも、NMNの認知度を広げています。
特にNMNの研究をリードする今井眞一郎氏が、その最新の研究成果について多くのメディアで語ったことが大きいです。
一般に論文は専門性が高く、知識を持った方でないと解読が難しい傾向にあります。
ですがNMNに関しては第一線に立つ今井氏自身が積極的にメディアでの解説をおこなっていることから、正確かつ最新の情報が分かりやすく広まったと言えるでしょう。
さらに多数の著名人が実際にNMNを試し、その経験をメディアで語ったことから口コミが広がったケースもあります。
このように、NMNが健康や長寿に関心のある人々から注目を集めるようになった背景には、メディアの力も見逃すことができないと考えられます。
手軽な摂取方法が確立されている
NMNに注目が集まる背景として、手軽な摂取方法が確立されていることが挙げられます。
例えばサプリメントには、NMNが配合されているものがあります。
一般にサプリメントは忙しい日常のなかでも簡単に栄養を摂取できるためのアイテムとなっているため、活用することで手軽にNMNを摂取可能です。
ただし各メーカーの製品により配合量や含有成分などが異なることもあり、購入の際には注意が必要となります。
摂取方法が確立された背景には、2020年1月に公表された研究結果で、NMNの安全性が明らかになったこともあるでしょう。
この研究は慶應義塾大学医学部と米国ワシントン大学医学部のグループによっておこなわれました。
研究者たちは、健康な男性10人を対象に、NMNが安全に投与できるかを調査した結果、NMNが安全に投与でき、投与量に応じて体内で代謝されることを確認したのです。
そして厚生労働省が2020年3月に、各都道府県をはじめとする関係各所へおこなった「食薬区分における成分本質(原材料)の取り扱いの例示」でも、NMNに関する内容がありました。
この改正では、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に「β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」をはじめとする4つの成分本質(原材料)が追加されています。
これはつまり、「その効能を医薬品として主張しない限り、NMNは医薬品とは判断されない」という新たな指針が示されたということです。
このように、研究によってNMNが健康な人に対して安全に投与できることが示されたこと、厚生労働省からも明確な通達が出たことから、民間でもさらなるNMNの製品開発が加速したといえるでしょう。
とはいえNMNはあくまで食品成分の一種であり、含むからといって医薬品に指定されるわけではないことを忘れてはなりません。
また、NMNによる効果は個々の体質や生活習慣などにより異なる可能性があるため、摂取にあたっては適切な情報を得て、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
NMNの摂取方法と注意点
NMNを摂取するには、どんな方法があるのでしょうか。
代表的な3つの摂取方法を注意点とともに解説します。
食品からの摂取
NMNはさまざまな食品に含まれる成分です。
たとえば野菜のブロッコリー・枝豆(えだまめ)・きゅうり・キャベツ、果物のアボカド、きのこ類のマッシュルームなどに多く含まれることがわかっています。
また母乳にも含まれますが、市販の牛乳にはあまり含まれません。
しかし食品に含まれるNMNの量はごくわずかであり、多くの摂取が期待できない点には注意が必要です。
NMNを多く含むとされるブロッコリーでも、可食部100gあたりのNMNは2mg程度(含有量にばらつきがあるためあくまで目安)となります。
よってNMNを100mg摂取しようと思うと、ブロッコリーを1度に5kgも食べなければならず、現実的に不可能でしょう。
食品からのNMN摂取は、あくまで健康的な食生活を送れる程度に留めることが理想です。
サプリメントからの摂取
NMNはサプリメントでも摂取することが可能です。
例えばRefeelas(リフィーラス)の場合、1日分の目安(3粒)に、ブロッコリー6.5kg相当にあたるNMN125mgが配合されています。
効率よく気軽に必要量を摂ることが出来るのはサプリメントのメリットですね。
しかし一般的にサプリメントもまた、利用するうえで注意が必要となります。
使用量を守らなければ身体に負担を与える可能性が考えられますし、服薬している薬との相性を考えなければなりません。
不安がある場合、かかりつけの医師に相談してから摂取することをおすすめします。
化粧品からの摂取
NMNを配合した化粧品も市販されています。
たとえば化粧水や美容液、オールインワンジェルなど、アイテムの種類も幅広く、基本はフェイスケアやメイク関連商品が多く展開されています。
ですが一般的に、化粧品は全ての方が使えると断定することは難しいです。
肌質や体質によって合わないケースが考えられるほか、使い方によっては肌トラブルや体調の悪化などを招く可能性もあります。
また使い方によっては想定された効果を得るどころか、かえって逆効果になることも考えられます。
使用アイテムを選ぶ際、実際に使用する際はこの点に十分注意しなければなりません。
使い始めたあとでも、仮に違和感を覚えた場合は使用を中止し、専門医師への相談を検討しましょう。
まとめ
NMNはもともと体内でも作られる自然の物質で、加齢により減少することが確認されています。
マウスやヒトを対象とした研究により、NMNには若々しさや健康維持に関する効果があると判明しました。
ただしその詳しいメカニズムはまだ完全に分かっていません。
科学の進歩とともに、これからも新しい事実が解明される可能性が十分にある分野です。
摂取するには野菜や果物などの食品、NMN配合のサプリメントをはじめさまざまな方法があります。
どの方法にもメリットや注意点があるため、しっかり確認してから摂取することをおすすめです。
#サプリメント #NAD+ #補酵素
執筆者・監修者
株式会社CloudNine
代表取締役 島本 倖伸氏
真の健康と美しさを目指す企業として、株式会社CloudNineを創業。NMNの食薬区分の改正に合わせて、同年6月にいち早くNMNサプリメントのRefeelas(リフィーラス)を発売。累計出荷本数20万本以上と、国内におけるNMNのリーディングカンパニーの一社として、数多くの臨床研究を積極的に行っている。NMNサプリメントにおいて日本初の機能性表示食品となった「Refeelasサプリメント」、スキンケアの「Refeelasオールインワンジェル」を販売。NMNをブームから文化にしていくために、NMN製品の臨床研究を積み重ねている。
共同研究者
近畿大学農学部応用生命化学科
准教授 澤邊 昭義氏
1991年近畿大学大学院工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了(工学博士)。1991年米国マサチューセッツ工科大学 博士研究員、1993年近畿大学 農学総合研究所 助手、講師、助教授を経て、2000年近畿大学准教授(農学部)。 専門分野:生物環境学、生命資源化学。研究略歴:様々な植物から有用性物質の探索を行い、食品、化粧品へ応用した実績を持つ。近年は、機能性表示食品へ応用可能な新規関与成分の探索研究も実施中。