NMNは食品で摂取できる?日々の食事で意識したいポイント

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、エネルギーの生成やDNAの修復、人間をはじめとする生命の健康維持に関わる成分として注目を集めています。

そもそもNMNは生命の体内だけでなく、食品のなかにも含まれる自然の成分です。

では、日々の食事でNMNを摂取することはできるのでしょうか?

この記事では、成分としてNMNが含まれる主な食品を紹介するほか、NMNを摂取するうえで日々の食事で意識したいポイントを詳しく紹介します。

NMNを含む食品

研究により、さまざまな自然の食品もNMNが含まれていることが判明しています。

ここではNMNを含む主な食品と、その含有量について解説します。

食品のNMN含有量の目安

各種食品に含まれるNMNの目安は、以下のとおりです。

食品の種類名 前可食部100gあたりの含有量
野菜枝豆0.47mg~1.88mg
野菜ブロッコリー0.25mg~1.12mg
野菜きゅうり(種)0.56mg
野菜きゅうり(皮)0.65mg
野菜キャベツ0.0mg~0.90mg
野菜トマト0.36mg~1.60mg
果物アボカド0.26mg~0.30mg
きのこ類マッシュルーム0.0mg~1.01mg
牛肉(生)0.06mg~0.42mg
魚介類エビ0.22mg
※各食品からNMNを抽出し、HPLCにより測定した数値。いくつかの食品では、異なる出典からの範囲値が示されています。

出典: Cell Metabolism掲載 | Long-Term Administration of Nicotinamide
Mononucleotide Mitigates Age-Associated
Physiological Decline in Mice

NMNは自然由来の成分であり、上記で紹介した以外にも、野菜や果物などを中心に、多くの食品に含まれています。

NMNは食事で摂取できる?

結論から言うと、食事だけでNMNの必要量を摂取するのは難しいです。

ブロッコリーやキャベツ、キュウリ、そして枝豆。

これらの緑黄色野菜はNMNを含む食品としてよく知られています。

また、果物のなかではアボカドもNMNを含んでいます。

しかしこれらの食材に含まれるNMNの量は、実は非常に少ないです。

例えば、NMNを100mg摂取しようとした場合、例えばブロッコリーなら5kg程度の摂取が必要となります。
(※仮にブロッコリー100gあたりのNMN含有量を、仮に2mgとして計算した場合)

NMNの摂取量は諸説ありますが、1日あたり100mg~250mg程度とされるのが基本です。

そのため、日々の食事だけで必要量を摂るのは現実的に難しいといえます。

食事だけで摂取しようとするのではなく、NMN配合のサプリメントをはじめ、他の摂取方法とあわせて検討するのがおすすめです。

関連ページ:NMNとは?知っておきたい基本を解説

NMNのはたらき

摂取したNMNは体内でどのようにはたらくのでしょうか。

NMNというのは、NAD+を作り出す過程において、重要な役割を果たす中間物質です。

体内に置いてNAD+は、生命活動を支えるために私たちの体で起こるさまざまな化学反応を助ける補酵素として機能します。

これは私たちの体内におけるエネルギー産生で重要な役割であり、欠かせないものだといえるでしょう。

しかし、加齢とともに、私たちの体の細胞はNAD+を生成する能力が、自然と少なくなる傾向にあります。

特に哺乳動物において低下が顕著なことが研究から明らかです。

その低下は、私たちの健康や若さを維持するために必要な様々な生体反応に影響を及ぼします。

さらに細胞はNAD+を直接吸収しにくいことから、NAD+そのものを補給しても効果は期待できません。

そこで、NAD+の前駆体であるNMNを摂取する方法が注目されています。

口から摂取したNMNは体内に吸収され、各種組織でNAD+の生成に活用されるはたらきが確認されています。

年齢を重ねて減少したNAD+を補う手段といえるでしょう。

さらに、NMNは、抗老化効果が知られるサーチュイン遺伝子の活性化にも寄与することがわかっています。

これらの情報から、NMNは健康維持や老化防止において有益な可能性があることが示唆されています。

日々の食事で意識したいポイント

食事は私たちの身体を作り、活動に必要なエネルギーを補うための手段として、健康に大きく影響します。

ただ必要な栄養分を摂るだけでなく、食事に対する意識やさまざまなアプローチを意識することで、NMNをはじめとする特定の栄養摂取との相乗効果も期待できるでしょう。

ここでは、NMNを摂取するうえで、日々の食事で意識したいポイントをご紹介します。

栄養バランスを考える

栄養バランスは、私たちの健康や活力に大きな影響を与えます。

ここでは厚生労働省と農林水産省が提唱する「食事バランスガイド」に注目し、そのポイントをわかりやすく解説しましょう。

参考:農林水産省 | 「食事バランスガイド」について

食事バランスガイドとは?

「食事バランスガイド」は、栄養のバランスを保ちながら、豊かで楽しい食生活を送ることを目指し、労働省と農林水産省が共同で作成したガイドです。

平成12年(2000年)の3月には、文部省、厚生省、農林水産省が連携して「食生活指針」を設定しました。

そしてその指針は平成28年(2016年)の6月に一部改正が行われました。

様々な食品を組み合わせてバランス良く食事をすること、特にごはんなどの穀物をしっかり摂取することを推奨するほか、野菜や果物、牛乳や乳製品、豆類、魚などもバランス良く摂ることが提唱されています。

この指針を具体的な行動に落とし込むためのツールとして、平成17年(2005年)に厚生労働省と農林水産省が「食事バランスガイド」を作りました。

いわば「食生活指針」の考え方を具体的に実践するための参考資料であり、主食、主菜、副菜、乳製品、果物といった食品の適切な組み合わせと摂取量を、イラストを通じて分かりやすく提示することを目指しています。

日々の食事で「何を」、「どれだけ」食べるべきかを考える目安となるでしょう。

このガイドは、食事の理想的な組み合わせと摂取量を、昔ながらのおもちゃである「コマ」の図解で示しています。

バランスのよい食材を選ぶことでコマが回り続けやすくなるが、バランスが悪くなるとコマが倒れてしまう、という視覚的なイメージを活用したものといえるでしょう。

食事バランスガイドの考え方

食事バランスガイドでは食品群を5つに分け、それぞれの群から食材を選ぶことで、バランスのよい食事を実現しやすい構造を目指しています。

具体的な量は年齢や体格、運動量によって異なるため、実際のガイドを確認するのがよいでしょう。

主食
ごはん、パン、麺、パスタなど、主要な炭水化物源となる穀物などのことを指します。
これらの食品は、私たちのエネルギー供給の主な源です。

副菜
野菜、いも、豆類(大豆を除く)、きのこ、海藻などを主材料とする料理が含まれます。
主にビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源です。

主菜
肉、魚、卵、大豆および大豆製品などを主材料とする料理が含まれます。
魚、肉、卵、豆腐などの大豆製品を含んでいます。
主にたんぱく質と、そのほか多くの必須栄養素の源です。

牛乳・乳製品
牛乳と、ミルクやチーズなどの乳製品が含まれます。主にカルシウムの供給源です。

果物
りんご、みかんなどの果実。
スイカ、イチゴなどの果実的な野菜が含まれます。
主にビタミンCやカリウムなどの供給源です。

あわせて以下の3点も押さえましょう。

水分
お茶や水などが含まれます。
ガイドではコマの軸にあたる部分として描くことで、食事に欠かせないものであることが表されています。

菓子・嗜好飲料
ケーキやせんべいなどのお菓子、日本酒やワインなどの嗜好飲料が含まれます。
食生活の中で楽しみとなる部分であり、適度な摂取が推奨されています。
ガイドでは、コマを回すヒモとして表現され、”楽しく適度に”というメッセージが込められています。

運動
栄養バランスのとれた食事とあわせて適度な運動を心掛けることは、健康維持という観点でも重要です。
コマが回る、つまり「運動」をすることで初めて安定した回転を維持できることを表現しています。

栄養の過剰摂取に注意

栄養はたくさん摂ればよいというものではありません。

どんなに身体に良いとされる成分であっても、体格や生活習慣にあわせ、適量の摂取を目指すのが理想です。

そもそも栄養と食事は、我々の健康と生命を維持し、子供たちが適切に成長し、すべての人々が健康で幸せな生活を送るために絶対に必要な活動です。

健康を考えるとき、私たちの体が必要とする適切な栄養素を摂取する必要があります。

日本の食事パターンは、この50年間ほどで大きく変わりました。

伝統的には高塩分・高炭水化物・低動物性たんぱく質の食事が主流でしたが、現在は動物性たんぱく質や脂質の摂取量が増える傾向にあります。

さらに栄養を手軽に摂れる環境が整ったことから、栄養の過剰摂取が問題になるケースも珍しくないといえるでしょう。

よって栄養対策も、これまでの栄養不足への対策に加え、過剰な栄養摂取への対策もふまえて変わることが求められています。

少なすぎても多すぎてもいけません。

食事と栄養は私たちの健康に深く関わっており、適切なバランスが大切です。

これはNMNについても同様でしょう。

一度に大量を摂取するのではなく、無理なく適量を摂り続けることがポイントとなります。

調理方法や味付けに注目する

料理では、食材の調理法や味付けによって、吸収できる栄養素や消化が変わります。

ここでは特定成分の過剰摂取を抑えるポイントをいくつか紹介しましょう。

減塩生活のススメ

その方の状況にもより前後しますが、一般的な一日の塩分摂取量の目安は8g以下です。

これは生活習慣から発生するリスクを減らすうえで、とても重要な数値となります。

しかしすべての方がこの目標を達成できているわけではありません。

現代の食生活は、多くの人が無意識に塩分を過剰に摂取しやすい傾向にあるからです。

塩分を抑える第一歩として、まずは食事の中で「塩分が多く含まれるもの」を把握することから始めてみてください。

汁物の食塩量は1杯約2g
具だくさんにすることで、具の素材の味を活かすことができます。

干物より生の魚
あじの干物の食塩量は約1.2g、塩鮭(辛口)一切れは約1.3g。これに比べて、生の魚は食塩量が低いです。

かけて食べるよりつけて食べる
しょうゆなどの調味料は、かけるよりも、つけて食べるほうが食塩の量が減る傾向にあります。

味付け主食は週に1回
カレーライス、チャーハン、丼物などの食塩量は多めです。

ほかにも調理法を工夫することでも、減塩を進めることができます。

昆布やかつお節、きのこ類などのうまみの濃い食品を使ったり、香辛料やハーブ、香味野菜を使ったりすることで、塩や塩分を多く含む食材の使用量を減らしやすくなるでしょう。

脂肪の摂りすぎに注意

次に脂肪の摂取について考えてみましょう。

脂肪は必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると、脂質異常症や肥満の原因になります。

そこで、工夫次第で脂肪の摂取量を減らす方法をいくつか紹介します。

豚肉ならトンカツよりしゃぶしゃぶ
豚肉を調理する際、揚げ物よりもしゃぶしゃぶにすることで脂肪の摂取を抑えることができます。

野菜なら天ぷらより煮物
野菜も揚げ物より煮物や蒸し物にすることで脂肪の摂取を抑えることができます。

調理器具や調理方法の工夫
フッ素加工のフライパンなどの調理器具で調理に使う油を減らす工夫をしたり、揚げ物よりも蒸しものや煮物にしたりなど、調理法を変えることで、油を減らすことができます。

和食も視野に入れる
和食は、天ぷらなどの揚げ物を除けば比較的油が少なめです。

調味料の油に注意
マヨネーズには大さじ1杯に約9g、カレー1皿分のルー(18g)には6g。調味料に入っている油を意識しましょう。

お菓子の油も意識を
油で揚げているお菓子やバター、生クリームが多く含まれているお菓子にも油がたくさん含まれています。

まとめ

日々の食事で意識したいのは、なんといってもバランスのよい食事です。

あわせて無理のない範囲で生活習慣を見直すことも重要となります。

ただし食事は生活の一部であり、楽しみのひとつでもあります。

社会的、文化的な活動でもある食生活は私たちの生活の質(QOL)に深く関わっているのです。

単に身体にいいかどうかだけでなく、無理なく摂れるかどうか、楽しめるかどうかも視野に入れましょう。

健康への意識を高めつつ、美味しさと健康を両立させた食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

執筆者・監修者

代表取締役 島本 倖伸氏

株式会社CloudNine

代表取締役 島本 倖伸

真の健康と美しさを目指す企業として、株式会社CloudNineを創業。NMNの食薬区分の改正に合わせて、同年6月にいち早くNMNサプリメントのRefeelas(リフィーラス)を発売。累計出荷本数20万本以上と、国内におけるNMNのリーディングカンパニーの一社として、数多くの臨床研究を積極的に行っている。NMNサプリメントにおいて日本初の機能性表示食品となった「Refeelasサプリメント」、スキンケアの「Refeelasオールインワンジェル」を販売。NMNをブームから文化にしていくために、NMN製品の臨床研究を積み重ねている。

共同研究者

准教授 澤邊 昭義氏

近畿大学農学部応用生命化学科

准教授 澤邊 昭義

1991年近畿大学大学院工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了(工学博士)。1991年米国マサチューセッツ工科大学 博士研究員、1993年近畿大学 農学総合研究所 助手、講師、助教授を経て、2000年近畿大学准教授(農学部)。 専門分野:生物環境学、生命資源化学。研究略歴:様々な植物から有用性物質の探索を行い、食品、化粧品へ応用した実績を持つ。近年は、機能性表示食品へ応用可能な新規関与成分の探索研究も実施中。