ホリスティック医学・ホリスティックケアとは?健康維持に役立つ知識を分かりやすく解説

ホリスティック医学とは簡単に言うと、心身共に健康でいるために患者ひとりひとりに合った最適な治療法を考えて、病気を人生の過程としてポジティブに捉える学問のことです。

また、体だけに留まらず、心や環境なども含めてケアしたり、生物が本来持っている自然治療力を高める手助けをしたりすることを、ホリスティックケアと言います。

ホリスティック医学・ホリスティックケアは、holy(聖なる)などの宗教的なイメージがある単語と関連があるためか、霊感商法や宗教絡みの学問として誤認されているケースもありますが、全くそのようなことはありません。

信仰している宗教などはもちろん関係なく、全人類に関係のある学問です。

今回は、ライフスタイルやホルモンバランスに変化が見られる40~50代の女性に役立つホリスティック医学の定義や、ホリスティックケアの具体例を詳しく見ていきます。
 

ホリスティックとは?

ホリスティックの語源はギリシャ語で“全体”を意味する「holos」です。holosという言葉から、健康を意味する「health」が生まれています。

このことから、健康とは部分的なものではなく、全体的なものから生まれる概念ということが分かります。


 

ホリスティック医学とは?

ホリスティック医学の視点で考える健康とは「病気でなければ健康」、「検査結果に異常がなければ健康」といった解釈ではなく、体や心、魂、環境などすべてを含めた上で、心身ともに健康かつ幸せであること、QOL(クオリティオブライフ)が高い状態を指します。

 

ホリスティック医学の定義

NPO法人 日本ホリスティック医学協会が掲げているホリスティック医学の定義を、分かりやすく解説していきます。
 

体や心、気、霊性、環境を含めた健康観

現代において“健康”を証明する手段のひとつとして、健康診断が挙げられます。

一般的に、ここで数値が正常であれば健康だとされていますが、健康診断だけであらゆる病気を判定することは不可能です。

例えば、うつ病や睡眠障害などのメンタル面での不調などを健康診断で数値化することはかなり難しいでしょう。

そこでホリスティック医学では、人を体だけでなく心や気、霊性に加え、家庭や職場、地域環境などの社会環境、自然環境まで含めた全体的(ホリスティック)な視点から健康を考えることを重視しています。
 

治療の原点は自然治療力を高めること

人間は本来、自然治療力を持っている生き物。

自然治療力とは、薬に頼らず自らで病気を治そうとする能力のことを指します。

指にできた切り傷が時間の経過と共に治っていたという経験はありませんか。

この自然治療力が低下すると、病気を引き起こしやすくなります。

つまり病気を治すには、薬や処置で表面的な治療をするだけでなく、その原因まで探る必要があるのです。

ホリスティック医学では、治療の原点はこの自然治療力を高めることだと解釈されています。
 

治療は患者自らが積極的に、医師は援助の立ち位置で

病気になっているのはあくまでも患者自身。

医師に与えられた薬をただ飲むだけ、一方的な治療を受けるだけでなく、患者自らが主体的に治療に取り組もうとする姿勢が重要です。

ホリスティック医学では医師による治療よりも、患者が自然治療力を高め、自らで治療を行おうとすることを重視。

医師の立場としても、薬の処方や治療を一方的に行うだけでなく、患者自らが自然治療力を高められるように、専門家の視点から指導やサポートをすべきだと解釈されています。
 

患者ひとりひとりに合った治療法を選択する

ホリスティック医学において、患者自らが自然治療力を高めることを重視するのは前述の通りです。

そのために、薬による治療を補うための方法や代替療法が用いられます。

具体的な代替療法は、各国の伝統医学や心理、栄養、運動療法などです。

例えば、サプリメントや健康食品、漢方薬、マッサージなどもそれに当てはまります。

代替療法を併用する場合もありますが、その際は患者ひとりひとりに適したものを提供することが必要です。
 

病を人生の過程のひとつとして捉える

病気や老いなどを単なる嫌なこととして捉えるのではなく、人生の過程の中でどう考えていくべきかが課題。

ホリスティック医学では、病気の原因を生活習慣やストレス、職場環境や環境問題などからも考えます。

広い視野をもって病気の原因や意味を探ることで、新たな気付きが得られるのです。

参考:NPO法人ホリスティック医学協会 | ホリスティック医学の定義




ホリスティック医学の例

ホリスティック医学の対象は、心療内科や精神科・美容・動物など多岐に渡っています。

ここではその例をご紹介しましょう。


心療内科・精神科の場合

まず心療内科や精神科と、ホリスティック医学は別個のものです。

前者は薬物療法やカウンセリングを用いて、回復への助言や手助けを行う場所。

対してホリスティック医学では、精神だけでなく体・魂・環境などを含んだ全体(ホリスティック)を診察します。

本来、人はひとりでは生きていけない生き物であり、社会の一員として存在しているもの。

メンタルヘルスを改善するには、人を個体として考えるのではなく、周りとの関係性まで考えて治療を進める必要があります。

場合によっては、患者が関わりを持つ環境の改善に取り組む必要も出てくるでしょう。

つまり、治療薬を処方するのが精神科、うつ病の原因をあらゆる視点から探るのがホリスティック医学です。

ホリスティック医学の観点では、うつ病の原因が体の疲れなら整体や鍼、劣悪な職場環境だとしたら、転職や再就職支援を促すといったように、全体像を見ながら治療を進めていきます。

ある病院では、高齢者のうつ病は認知症などにも発展しやすいことに着目し、認知機能やCTなどの検査も行っているとのこと。

これはホリスティック医学の定義の5つ目である、病を人生の過程のひとつとして捉えることにも当てはまります。

年齢を問わずうつ病をネガティブなものとして捉えるのではなく、その意味を考えてどう生きていくか人生を見つめ直すなど、人生の転換期として捉えるのが重要です。


皮膚科の場合

皮膚科の保険診療や美容皮膚科におけるニキビやアトピーの治療も、従来は医師が処方した塗り薬を使うのみに留まっていました。

これだと表面的な症状は改善されても、根本的な問題は解決されない可能性が高いため、せっかく肌荒れが改善しても再発してしまいます。

皮膚科にもホリスティック医学を取り入れることで、根本的な解決へと導くことが可能になります。

この肌荒れが生活習慣によるものなのか、職場や家庭環境によるストレスによって引き起こされているのか、体内で何かトラブルが起きているのかなど、視野を広げて問題を考えることがこの医学のポイントです。

例えば「酵素栄養学」に着目した治療を行っている皮膚科医もいます。

酵素栄養学とは、栄養素を摂取した後の消化や吸収、腸内環境に注目したもの。

外側だけでなく内側からのケアも行うことで、外側も整っていくという考え方です。


NMNと美容の関係性

美容や健康の分野で注目したいのが、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)です。

まだ研究が進められている成分ではあるものの、エイジングケアが期待できると話題を集めています。

どんなにメイクやスキンケアを頑張っても、体内環境が乱れては効果が期待しにくくなります。

まずは内側から、美しさを支えることが大切です。

そこで取り入れたいのが体内に入ると補酵素(NAD+)に変換される成分のNMNです。

NAD+は老化を防ぐ酵素を活性化させる働きがあるものの、加齢と共に少しずつ減少します。

NAD+は美しさや若々しさを支えると言われる成分でもあることから、NMNをサプリメントなどで摂取することで、インナーケア効果が期待できます。

ホリスティックの観点ではNMNを単独で摂取するのではなく、ビタミンを一緒に摂取したり、睡眠の質を改善してストレスを取り除いたりといった提案をします。
 

動物への治療

犬や猫といった動物の治療でも注目されています。

本来生物に備わっている自然治療力。

遺伝やストレスによってこの力が弱まるのを防ぐために、ホリスティック医学では自然治療力を高めることが重要とされます。

例えば、愛犬が毎日食べるドッグフードを健康面が考えられたより良いものに変えたり、リラックス効果やケガ防止のためのマッサージ、散歩や食事方法の改善を行って便秘を防止したりすることなどもホリスティック医学の一部と言えます。

一つの問題を様々な視点から捉え、解決方法を探ることがポイントです。




ホリスティック医学の注意点

ホリスティック医学を取り入れるにあたって、気を付けなければならない点があります。

2つの項目を見ていきましょう。



あくまでも全体的に物事を捉えることを重視

前提として、ホリスティック医学における健康とは、体だけでなく心も健康であることが要です。

外見的には健康であっても、心が健康であるとは言い難い状況はよくありません。

また何かひとつの方法や治療法に固執してしまうことは、ホリスティック医学の定義に反しています。

物事を広い視野で捉え、さまざまな側面から解決策を探ることが大切です。

凝り固まった概念を改め、柔軟に問題解決への道のりを探りましょう。



西洋医学は悪ではない

ホリスティック医学の定義の4つ目には、「患者ひとりひとりに合った治療法を選択する」といった内容が書かれています。

これは、現代で用いられている西洋医学(投薬や手術などで、病気を治すために物理的にアプローチすること)の利点を活かしつつ、その病気の原因に運動不足があるなら運動療法を、食事に問題があるなら食事療法など、患者ひとりひとりに合った治療法を考えていくというものです。

「ホリスティックケアとは西洋医学に頼らずに病気を治すもの」といった間違った解釈をしている方が多々いますが、これはホリスティック医学の定義に反しています。

この医学は幅広い視点で健康について考え、良いものをさまざまな側面から取り入れていくものです。

その方法のひとつには、西洋医学ももちろん入っています。

片寄った思考ではなく、柔軟に良いものを取り入れることが大切です。

例えば、全体的に物事を捉えるために、西洋医学の専門家であるかかりつけの医師に相談することは有効だといえるでしょう。




ホリスティックケアを生活に取り入れるヒント

ホリスティック医学では、体だけでなく心や魂、環境など幅広い視点で“健康とは何か”を捉える学問であることは前述の通りです。

心療内科や精神科での具体例でも解説したように、心身共に健康でいるためには、人を個体として切り離すのではなく、周りとのつながりを重視して環境改善に取り組む必要があります。

この考え方は、一例として防災に応用ができます。

自然災害が起きた際に必要なのは自助や共助。

これを身に付けるためには、日頃から地域のコミュニティと密接な繋がりを持っておく必要があります。

地域の人々と繋がりを持っておくことで、いざというときに助け合うことができるのです。

現代は核家族化が進んでいることもあり、隣人がどんな人か知らない、近所の人と挨拶すら交わしたことがないといった方が増えています。

近所の人と関わるのが苦手な方は、すれ違ったら挨拶をしたり軽い会話を交わしたりするだけでもOKです。

他には、市の広報やお知らせに目を通したり、災害があった際に使用すると思われる施設までの距離感を、散歩ついでに体感しておいたりするのもおすすめです。




まとめ

40~50代の女性は、ライフスタイルやホルモンバランスの変化によって、健康とは何かを考える機会が多く出てくる年代です。

健康問題に直面したとき、表面的な治療を行うだけでなくさまざまな観点から治療を行うことで、これからの人生をより健康的に過ごすことができます。

ホリスティック医学・ホリスティックケアの概念を取り入れ、QOLの高い心身共に健康的な状態で人生を謳歌しましょう。

 

執筆者・監修者

代表取締役 島本 倖伸氏

株式会社CloudNine

代表取締役 島本 倖伸

真の健康と美しさを目指す企業として、株式会社CloudNineを創業。NMNの食薬区分の改正に合わせて、同年6月にいち早くNMNサプリメントのRefeelas(リフィーラス)を発売。累計出荷本数20万本以上と、国内におけるNMNのリーディングカンパニーの一社として、数多くの臨床研究を積極的に行っている。NMNサプリメントにおいて日本初の機能性表示食品となった「Refeelasサプリメント」、スキンケアの「Refeelasオールインワンジェル」を販売。NMNをブームから文化にしていくために、NMN製品の臨床研究を積み重ねている。

共同研究者

准教授 澤邊 昭義氏

近畿大学農学部応用生命化学科

准教授 澤邊 昭義

1991年近畿大学大学院工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了(工学博士)。1991年米国マサチューセッツ工科大学 博士研究員、1993年近畿大学 農学総合研究所 助手、講師、助教授を経て、2000年近畿大学准教授(農学部)。 専門分野:生物環境学、生命資源化学。研究略歴:様々な植物から有用性物質の探索を行い、食品、化粧品へ応用した実績を持つ。近年は、機能性表示食品へ応用可能な新規関与成分の探索研究も実施中。